【自筆証書遺言とは】

自筆証書遺言とは、全文を遺言者が自分で書く形式の遺言書を言います。

【メリット】

  • 費用がかからない。
  • 自身で簡単に作成できる。
  • 内容を誰にも知られずに作成できる。

【デメリット】

  • 形式不備によって無効となるおそれがある。
  • 紛失や偽造変造のおそれがある。
  • 家庭裁判所による検認手続が必要となり、時間や手間がかかる。

【自筆証書遺言の要件】

  1. 遺言の内容、日付、遺言者の署名を全て自書する。
  2. 日付を明記する。
  3. 署名・押印する。
  4. 加除訂正は決められ方式に従って行う。

全てを自書することが要件となっていますので、パソコンで作成したものや代筆されたものは無効となります。
日付についても例えば2018年1月吉日などという作成日を特定できないものは無効となります。
押印の際に使用する印鑑についての決まりはありませんが、実印を使用するのが一般的です。
また、書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。
訂正や追加がある場合は全て書き直しをすることをお薦めします。

なお、改正法施行後は、財産目録をパソコンで作成することが認められるようになり、また、預貯金の通帳や不動産の登記簿謄本のコピーを添付することもできるようになっております。

【封印と保管】

作成した遺言書は封筒に入れ封印をします。封印の際は遺言書に押印した印鑑と同じ印鑑(実印)を使用します。
また、封筒にも作成日付を明記し、署名しておくと良いでしょう。
自筆証書遺言は相続発生時に家庭裁判所での検認の手続が必要となりますので、封筒と一緒にその旨を記載した手紙を保管しておくと良いでしょう。

自筆証書遺言で問題となることの1つに遺言書の保管の仕方があります。
せっかく遺言書を作成しても遺言者が亡くなられた時に、誰にも発見されないと意味がありません。
また、遺言書を貸金庫に保管してしまうと、相続人が複数いた場合、全員の同意が無いと持ち出せなくなってしまいますので、あまり適当ではないと考えられます。
普段は人目につかず、事が起こった時に容易に持ち出せる場所に保管し、日頃から家族に遺言書がある旨を伝えておくと良いでしょう。

法務局による保管制度

2020年7月10日から法務局で自筆証書遺言の保管ができるようになりました。これまでは、自ら執筆した遺言書は自己責任での保管が求められていました。

しかし、自筆証書遺言を適当に保管すると、保管場所を忘れてしまったり何かの拍子に別の場所へ移動されてしまう危険性があります。
また、遺言は相続の内容を確定させる重大な書類であるため不利な扱いを受ける相続人が遺言書を破棄するリスクも大きいです。

そして、遺言書の存在を遺言者しか知らなければ、いざ被相続人が亡くなった後に相続人が遺言書を見つけることができません。

自筆証書遺言を法務局で保管する場合、保管の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に、遺言者が自ら出頭して行わなければなりません。

遺言書の保管の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所に、遺言者が自ら出頭して行わなければなりません。

その際、申請人(遺言者)の本人確認書類が必要です。

保管の申請がされた遺言書については、遺言書保管官が、遺言書保管所の施設内において原本を保管するとともに、その画像情報等の遺言書に係る情報を管理することとなります。

遺言者は、保管されている遺言書について、その閲覧を請求することができ、また、遺言書の保管の申請を撤回することができます。

保管の申請が撤回されると、遺言書保管官は、遺言者に遺言書を返還するとともに遺言書に係る情報を消去します。

遺言者の生存中は、遺言者以外の方は、遺言書の閲覧等を行うことはできません。

遺言書保管所に保管されている遺言書については、 遺言書の検認の規定は、適用されません(つまり、検認不要です)。

【遺留分について】

遺言書の内容を考える場合には、遺留分についても十分に配慮した内容とすることをお薦めします。
遺留分とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。
基本的には、亡くなった方の意思を尊重するため、遺言書の内容は優先されるべきものです。
しかし「自分が死んだら、全財産を愛人にあげる」という内容の遺言書を作られてしまうと、残された家族が困ってしまいます。
そこで民法では、最低限相続できる財産を遺留分として保証しているのです。

【法定相続と遺留分】

相続人法定相続分遺留分  
配偶者と子供配偶者1/2子供1/2配偶者1/4子供1/4
配偶者と親配偶者2/3親1/3配偶者1/3親1/6
配偶者と兄弟姉妹配偶者3/4兄弟姉妹1/4配偶者1/2兄弟姉妹 遺留分無し
子供のみ全て子供1/2
配偶者のみ全て配偶者1/2
祖父母のみ全て祖父母1/3
兄弟姉妹のみ全て兄弟姉妹 遺留分無し

遺言書の作成をお考えの方は、お気軽にお問合せ下さい。


【事務所名】 野村行政書士事務所
【所長・行政書士】 野村 竜司
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